元公認会計士で経営コンサルタントの元社長(35)が 管理を委託されていた特定目的会社(SPC)の資金約30億円を着服した容疑で逮捕されたというニュースをご存じの方は少なくないはず。
容疑者は2005年1月からSPC4社の預金管理を委託され、今年1月頃から4社の口座から現金を13回にわたり無断で引き出し、計約30億円を横領した疑いで逮捕されたというわけだ。
被害にあったシンプレクス不動産投資顧問はSPCを受け皿に一般投資家から出資を募り、取得した不動産から得た賃料収入などを配当するという事業で、容疑者はその一端を担っていたというわけだ。
容疑者が横領した資金は、すべて個人的な外国為替証拠金取引(FX)に流用。
1月8日に約16億円を引き出しFX取引を始め、損失が穴埋めできなかったため、25日に計約12億円、28日に約2億円を再び引き出したが、結局最終的にほぼ全額を失ったという。
投資顧問会社は2月に刑事告発したうえで、一般投資家へはこの損失分を弁済したという。
では1月のドル円の日足チャートを見てみましょう。
8日に買って、ハイバンドに当たるまで持っていれば儲かることがわかりますが、チャートが読めなかったのでしょうか?
25日とか28日はトレンドがないところですから、舞い上がって大バクチを打ったのでしょう。
ドル円の日足チャート
黄色い部分が1月
昨年の11月に間違いだらけのFX取引というコラムを書きましたが、こうして見ると容疑者は典型的な「間違いだらけ」の手法でもって全資金を失ったようです。
レバレッジの高いFX取引では、損失を出すと大きくなるわけで、この30億円という損失額が、このことをよく物語っています。
対象が何であろうと、リスクがコントロールできる手法で訓練を積み、しっかりとした資金管理ができなければ、トレーディングというのは、そう簡単に勝つことはできないのだということを、このニュースから学ぶことができますね。