発行部数の低下に伴い広告収入が落ち込む新聞、視聴率と低俗化で番組が画一化するテレビ、廃刊の相次ぐ雑誌というように、2010年に入ってからのマスメディアの変化は、それまでより、さらに大きくなっている。
理由は簡単、今までのメディアが提供する内容だけでは、社会のニーズを満たせなくなっているからだ。
このことを最も実感できるのは、ネットを通じて情報を得ている人たちで、既存のマスメディア側は未だにその実感を掴めていないようなのだから始末が悪い。
メディアは今までマスメディアを支えてきた社会や技術の構造そのものが変わってしまっていることに気がつかないという、いわゆる「裸の王様」状態になっているからだ。
そのため、ますます対応が遅れるという悪循環に陥っている。
今まで、メディアは番組や記事などの(コンテンツ)を制作し、それを載せる器(コンテナ)としてのチャンネルや新聞の紙面で構成した媒体を運ぶための電波や宅配網などの伝送路(コンベヤ)をすべて押さえていた。
だが、ネットの発達でコンテナ部分をヤフーやグーグルといった企業に奪われてしまう。
メディアはコンテンツと伝送路の2つに固執するあまり、コンテナという新しい主戦場の重要性に気がつかなかったのだ。
コンテナを制する者がメディアを制するという現象が、すでにネットの世界では実現している。
こうなると「希少な伝送路を押さえる優位性」は、全く意味がなくなってしまう。
「世論の形成」もネットの方が速報性の点で既存のメディアより優れているため、新しいサービスも続々と登場している。
「権力の監視」という重要な機能もニーズがあれば、必ずそれを供給する者が現れる。
記者会見のインターネット中継と、フリーのジャーナリストによるツイッターでの中継などを通じて、一般市民がコメントを返しながら議論をするという仕組みがすでに始まっている。
凋落化傾向に拍車がかかる既存メディアにとって、今年は正念場になるはず。
というわけで、筆者もツイッターという情報提供チャンネルで、素早くきめ細かな情報の提供を始めました。