「ノーカントリー」のコーエン兄弟の魅力が存分に味わうことができる、いわゆるコメディーのジャンルに属する映画なのだが、これが期待を上回る面白さだった。
というわけで今日は久しぶりの映画紹介。
CIAの機密情報が書き込まれていた1枚のCD-ROMを巡っての展開なのだが、この何の変哲もない冒頭の掴みをきっかけに、グイグイと映画に引き込まれるのはひとえに脚本の面白さのためだろう。
脚本はあらかじめ登場する芸達者な5人を想定して書かれたというだけあって、それぞれの個性が絡み合った極上の作品へと仕上がっている。
普通持っているであろう、「幼稚な発想」というスパイスが絶妙に振りかけられているため、事態は予想だにできない結末へと向かってゆくわけだが、このストーリー展開が全く読めないのも、また面白さの一つとなっている。
脚本の面白さと、監督の力量がうまく絡み合い、豪華キャストたちの魅力をうまく引き出しているのは、こうした要素の微妙なバランスで、これがまた極上のうまみを作り出している。
まず、フィットネスクラブで働くチャド役のブラピが、笑わせてくれる芸達者ぶりで見る者を唸らせてくれる。 (写真右端)
このブラピと悪だくみを共にする「何としてでも整形したい」リンダ(フランシス・マクドーマンド)が、これまたいい味を出しているのだ。(左から2番目)
まじめに演技すればするほど、その面白さが際立つという、2つの一見相反する要素を見事に演じきっているのは流石。
CIA諜報員のオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)の、自分が機密情報を紛失したことに気づくマヌケさという、素晴らしい演技も見逃せない部分だ。(左端)
オズボーンの妻・ケイティ(ティルダ・スウィントン)(右から2番目)は財務省連邦保安官のハリー(ジョージ・クルーニー)(中央)と不倫という設定だが、このキャラの異質さがまた精彩を放っている。
そしてエロおやじ役のジョージ・クルーニーは、何とリンダ(フランシス・マクドーマンド)(左から2番目) も不倫関係になるというハチャメチャさがまたナイス。
この映画の面白さを文字で書いてみよう、などという暴挙に私を走らせたのは「オトナのためのたぐいまれなる辛口なコメディーの面白さ」からだ、と断言していいだろう。
オチもちゃんとあるしね。
見逃すと損ですぜダンナ。