トレーリングストップ
トレードはエントリーするよりも反対売買のタイミングのほうが難しい。
エントリーポイントが同じであっても、トレーダによって、利益を出せたり、損失を蒙ることになったりもする。
こうした反対売買のときに、トレーリングストップを使われたことがあるだろうか?
エントリーの方向がわかるようになっても、どうも脱出がヘタで・・
という悩みをお持ちのレーダーは多いだろう。
そこでこのトレーリングストップという自動脱出機能だ。
毎日の執行で今より 0.1ポイントも有利な値段で脱出できたとしよう。
チリも積もれば・・で、1ヶ月/20日トレーディングデイだと2ポイント(1000株換算で2000ドル!)にもなる。
上図は 0.2ポイントのトレーリングストップ値での動作模式図だ。
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実トレードの記録を使い、トレーリングストップについて簡単に解説してみよう。
07/11 22:32 (はっち) ショートサイドとしてはAMZN
07/11 22:33 (はっち) ギャップがないから要注意だ
右下緑色の利益ゾーンの反対売買は、0.2ポイントのトレーリングストップを使っている。
長い髭が伸びた時点から、0.2ポイント上昇した点が37.52。
ここで自動的に買い戻しが執行された。
このように値段が激しく動くケースでは、反対売買の値段を確定するのが非常に難しい場合が多い。
このケースでは0.2ポイント幅のトレーリングストップを使ったが、では何故もっと少ない幅を使わなかったのか?
ストップの幅が 0.05 ならさらに 0.15 ポイント有利な値段で、執行されたことだろう。
それには理由がある。
おわかりになるだろうか?
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このトレーリングストップをより理解するために、次の例をご覧いただこう。
トレーリングストップを使った例。
実トレード。
パーシャルフィル(部分執行)はなく、1000株が一発で執行されている。
実際に執行された3分前(41分)にトレーリングストップで売りをオーダー。
+0.59ポイント。
トレーリングストップの幅は0.05。
41分にトレーリングストップをかけた理由は、DOJIが出たからだ。
DOJIはアップトレンドが終わるマークかもしれない。
だから、このあたりで下がるかも知れないと思ったわけだ。
だからここから 0.05 下がったら脱出しようということで、トレーリングストップをかけたわけだ。
27.33 が掛けた値段。
ここから 0.05 下がれば、27.31 で売却される。
つまり、このトレーリングストップを掛けた時点で、27.31以下で売られることはなくなったということなのだ。
この時点から、ストレスのない脱出のプロセスがオートマチックで始まる。
株価はストップを掛けた位置から再び上昇を始めた。
27.31 から株価が上昇するたびに、27.33 27.34 とストップ値が上昇してゆくのがわかるだろう。
↓
そして27.50の高値をつけた位置から、0.05ポイント下がった、27.45 まで下がってきたときに、ARCAのシステムが作動。
上の執行記録の最下行の数字 27.45 とその上の黒い数字の 27.44
が 出たタイミングが、ストップのトリガーとなったタイミングとなったわけだ。
27.45 より高く、売り手に有利な 27.49 が、たまたまあったのだろう。
ARCA というシステムが、マーケットプライスとしてキャッチしてくれたというわけ。
いかがだろうか?
最近のソフトウエアが持つ素晴らしい機能だ。
単なるストップロスだと、値段が上がるにつれて、そのたびに、ストップを解除し、また設定をし直さなければならない。
早く動く時には、間に合わないこともある。
価格が上昇していれば、単なるストップロスよりも、はるかに有利な値段で執行してくれるこのトレーリングストップは、設定値を状況にあわせて変化させれば、マニュアルよりはるかに少ないリスクで、よい値段を手に入れることができる。
さらに右クリックによるストップ幅のチェンジオーダーで、そのときの状況によって設定幅を変化させることができる。
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トレーリングストップの設定値
トレーリンスストップは設定幅が大事なポイントとなる。
株価がグングン上がってきたら、できるだけ高い値段で売りたいわけだ。
下のチャートの赤いグラフは、それぞれの1分足でのローソク足の値幅を測定するマクロを使って、値幅を表示したものだ。
下のチャートを見ると 27.33 がトレーリングストップを掛けた位置。
ここから 0.05 下がれば、27.31 で売却されるが、このトレーリングストップを掛けた時点以後は、株価がこれ以上下がらなければ、27.31以上で売られるということなのだ。
設定した時点での赤いグラフは 5 を表示している。
つまり 0.05 ポイント。
そして下のチャートを見ると、執行された時点のローソク足の値幅は +6。
つまり 0.06 ポイントあったということだ。
設定値は 0.05 だから、下がれば当然ヒットする。
下のチャートは、高値付近をより見やすく拡大したチャートだ。
27.49 というのは、高値の 27.50 の 0.01 ポイント下。
マニュアル執行を使い、この値段で売却するのは、よほど運が良くなければまず無理だろう。
実際にはこういう分析をして、設定値を決めたわけではないが、これは経験によって決定された、あるルールによるものなのだ。
こうした設定で、気をつけなければならないのは、大きなプルバックで引っかからないようにすることだ。
ストップを一時キャンセルしたり、設定値を変えることで対応できるが、それでも大きなプルバックが来れば、ひっかかってしまう。
これを防ぐにはどうすればいのか?
解決方法はいくつかあるが、こうしたケースでも重要なのはチャートの分析だ。
この赤いグラフは 1MAを使っているが、20MAや50MAを使うことで、平均値を出して分析してみると、面白いことがわかるだろう。
このように大事なポイントは設定値だ。
この設定幅は一定時間にどれくらいの値動きをするかという点に、密接にかかわっている。
では最小のタイムフレームである1分チャートで、どれくらいの値動きがあるのかを見てみよう。
下は値段帯が25ドル代のインテル。
長いローソク足で0.1ポイントほど。
↑
ローソク足チャートの下の部分に表示されている赤いレンジアベレージという計測用のマクロプログラムでも、+10(0.1ポイント)と表示されている。
つまり0.2ポイントも設定しておけば、通常の株価の上下幅のブレ程度では、問題ないといえるだろう。
下は100ドル以上の株価のEBAY。
これは株価が高いこともあって、0.5ポイントもの幅がある。
下のチャートは60ドル近い値段のSNDK。
同じ1分チャートでの、最大のローソク足の幅は、レンジアベレージという計測用のマクロプログラムでも、+46と表示されているように、何と0.46ポイントもある。
トレーリング幅を0.5ポイントは取っておかないと、急激な株価の動きで、ストップに当たってしまう。
逆に言えば、SNDKは「たかだか」50ドル代の株価なのに、倍ほどの株価のEBAYと同じレベルの変動幅があるということになる。
このように銘柄によって、最適の設定幅があり、この価格レンジによって違ってくる変動幅がおおよそわかっていれば、トレーリングストップをより有効に使うことができるというわけだ。
さらに、どのタイムフレームを使うかによっても変動幅は変わってくる。
上は3分チャートで表示したEBAY。
最大で0.68ポイントもの変動幅がある。
だからといって0.7ポイントもの設定幅でトレーリングストップを掛けたままでは、ストップ幅以上の上昇がなければ利益を出すことができないことになってしまう。
これは単純なストップリミットでも、同じことだ。
このように単なるストップリミットであれ、トレーリングストップであれ、ストップ値の設定幅と、設定のタイミングというのは、利益を出すためには、非常に重要なポイントとなる。
私は、この機能を身につけるため、実トレードでかなりの実験を繰り返した。
実マーケットでなければわからない部分があるからだ。
つまり、その機能を身につけるための投資をしたというわけだ。(笑)
このスキルを身に着けているかどうかによって、同じポイントでエントリーしても、利益を出せるトレーダーと、すぐにストップに引っかかってロスを出してしまうトレーダーとに分かれてしまうということにもなる。
これをもっとも早く身に着けることができるマーケットは、EminiやTBONDだ。
極端な言い方をすれば、Eminiは1銘柄、TBONDOも1銘柄。
だから、スペシャリストになるには、株式ほど、多くのレンジの銘柄を解析する必要がないということになる。
またトレーリングストップを使わないケースでも、こうした株価レンジと、そのの動きに対応したストップのつけ方というスタディーを通じて得るものは、非常に大きいだろう。
トレーリングストップという機能は、コツさえ飲み込めば、とても頼りになる。
まさにバカとハサミは使いよう。
理想的な脱出が何故可能になるのか?
という種明かしは、このトレーリングストップにあったというわけだ。
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守備範囲の広いトレーリングストップ
スプレッドの大きな銘柄で、マニュアルで脱出を試み、それまでのせっかくゲインを帳消しにしてしまう位置で脱出する羽目になった経験
をお持ちの方は少なくないと思う。
チャットでもトレーリングストップについて、具体的な数値を書き込んでいるが、実際に使ってみると、この機能は心理的にとてもラクだ。
エントリーしたら即、0.2ポイントほどの幅で掛けておけば、特にスプレッドの大きい銘柄や、50ドル以上の銘柄でなければ、OKだ。
500株なら、0.2ポイントの幅なら、ロスはわずか100ドル前後。
ロスの幅が確実に限定されていれば、思い切ってエントリーできるようになるだろう。
たとえば0.2ポイント上昇すれば、手数料を別にして、そのトレードでの負けはなくなるというわけだ。
上は買戻しの際の、トレーリングストップ選択のウィンドウ。
上は、買戻しでトレーリング幅を 0.2ポイントに設定したところ。
ただトレーリングストップは、設定幅を簡単に変更できるから、値を大きく変更してしまうと、結局大きなロスを取ることになってしまう。
欲が出ると時々やってしまうけどね。(笑)
この点は十分に注意をしなければならない。
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利益確定で積極的に使う
トレーリングストップはロスのコントロールだけではなく、利益確定の際にもかなり使える。
実際の例で説明しよう。
このようにかなり高い位置からのエントリーのため、ここがちょうどダブルトップの位置になるかも知れなかったため、安全のために500株。(笑)
↓
上はその執行記録だ。
下のチャートの緑のマークがトレーリングストップを動作させた位置。
黄色が0.05ポイント下の本来の動作位置。
赤が実際に確定した位置。
確定後の記録を見ると、スリッページ(指定した価格からずれて約定すること)が発生している。
このスリッページは、ストップ・オーダー(逆指値注文)で起きやすい。
マーケットでは指値注文がまず約定され、その後で逆指値注文が約定する。
その間のコンマ何秒の間にも値動きがあるために、約定された値段は指定した値段からズレてしてしまうというわけだ。
この銘柄は、スプレッドが大きく、その差が 0.1ポイント もある場合があるため、マニュアルでの判断では設定ボタンをクリックするタイミングが非常に難しい銘柄だ
。
マニュアルでの脱出では、判断の遅れに加えてスリッページが加わるわけから、トレーリングストップでの、この性能はかなりいいと考えていいだろう。
SNDKは脱出がもっとも難しい銘柄のひとつだと思うが、それにもかかわらず上のチャートの位置で脱出できるのだから、利益確定にも使えるこの機能はとても守備範囲の広い機能だといっていいだろう。
エントリーの方向が確実に特定できるようになれば、次は脱出の技術に目を向けてみてはどうだろうか。