Diana Krall
2000年のベストジャズボーカル部門でグラミー賞を受賞した、Diana
Krall のコンサートが、3rd. Annual Smooth Jazz Festival のイベントとして、、7月30日(日曜)午後7時からサン・ミッシェル・ワイナリーで開催。
最初にダイアナの事を知ったのは、ニューズウィークの記事。
早速CDを買って、なるほどと納得。
男性のジャズボーカルの本格派では、ハリー・コニック・ジュニアが若手としては有名だけれど、(今はもう若手じゃないかもね)うまさが鼻につくほどうまいのが欠点か?(笑)
そういう点では、ダイアナはハリーほど、アグレッシブな味付けじゃないから、彼女の方が一般受けはするでしょうね。
もともとピアノを目指していたアーティストのようだけれど、彼女の声はハスキーで、暖かい。
これはハリーにも共通する点だろう。
日本で歌手と呼ばれている若い女性の声は、傾向としてキンキンと高音が勝ちすぎ、ウルサイ印象があるのだが、彼女はしっとりと落ち着いた声でとてもナイス。
中低音になんともいえない味があり、何というか心が安らぐ声質をしているのですね。
高音のキンキン声に食傷気味の方は、彼女のアルバムは、きっと気に入るはずです。
おまけに、金髪の美人タイプですから、人気が出るのはあたり前田のクラッカー。
ただ、今回のライブを聞いても、それほどポピュラー志向じゃないので、日本ではどうでしょうか?
ちょっと地味ですからね。
Smooth Jazz Festival のサイトでチェックしていたら、7月にライブがあるというので、早速チケットを入手。
自宅からは車で30分ほどの近場。
念のため、前日にドライブがてら下見へ行っておいたので、これが後で大いに役立つことになるのですが・・
当日は快晴。早めに出て1時間前に、近くの指定駐車場へ。
駐車場から会場までは、シャトルバスで5分。
ここがチケットの交換所、手の甲にスタンプを押してもらって・・
Zoom
ワイナリーの工場の裏が会場。
みんなピクニック気分で、食べ物を食べ、ワインを飲んでいました。
私の観察では、ほぼ全員と言い切っていいと思います。
前の方は指定席で白いプラスティックの椅子が並べてある。
これは午後6時頃のショット。
まだまだ直射日光がガンガン当たっている。
ステージが日陰になリかける7時頃に開演という設定。
ピアノにはこうして、温度が上がらないようにカバーがかけてありますが、それよりも、日の当たらないところへ、置いておいた方がいいのではないでしょうか?
どのみち、開演前には、調律をするのですからね。
まあ余計なお世話ですが・・
柵のそばが、喫煙場所。
これはトイレ
今回は、自由席?なので椅子を持参しましたが、こういう野外用の携帯椅子?にも、いろいろのタイプの椅子があります。
これは座椅子式、前が見えにくいのが欠点かな。
でも、軽く携帯性はよろしいようです。
後ろの人にとっても、前が良く見えますしね。
これは一番多いスタイル
ベルビューのシアーズで買ったでしょ?(笑)
私が今回買ったのもこのタイプ。
9ドルくらいでした。
バックパックのように背負えるようなタイプのケース付で、携帯性よしですが、ちょっと座る位置が高いので、前はよく見えますが、後ろの人にはちょっと迷惑かな・・
ワイナリーですから、会場内では当然ここのワインを売っています。
3人で赤ワインを一本飲みましたが、おいしかった。
10ドル前半の値段だったので、余計にうまかった。
あっという間にカラ。(笑)
車座になって、ひたすら飲んで食ってたグループ。
後ろのグループも良く食べる食べる・・これじゃ太るわな。
高い「やぐら」はスポットライトの照明
白いテントは、PA席
この位置からは、音はあまり聞こえなかった。
スピーカーは結構指向性の高いタイプのようです。
近くに民家もありますしね。
開演時間近くになると、前の指定席も埋まってきました。
Zoom
この会場の裏を、ディナーを食べることができる列車が走っています。
このテントの中で、ちゃんとしたディナーを食べることもできます。
Zoom
このような熱気球も飛んでいましが、ズームで空の青さと高さを少しでも感じていただければ・・
空を見ながら、屋外でのんびりとジャズを聞く素晴らしさを、文字で表わすことができないのが残念です。
これはいわゆる前座。多分地元のバンドでしょう。
日が落ちて、影になってきているのがわかりますね。
ドラム・ベース・ギター・キーボードの4人編成でしたが、、まずベースの音程が悪いし音も良くない・・ドラムもうるさく手数が多すぎ。
かろうじてギターとキーボードで持ってましたが、まるでBGMのようで、終わると義理の拍手・・アメリカの聴衆は聞く耳がありますからねえ。
結果的にダイアナのバンドと聴き比べることになりましたが、全く違う。
前座は5曲ほど演奏したけれど、長かった・・
さて、いよいよダイアナの登場ですが、その前にピアノの調律がありましたが、これは結構時間がかかるんですね。女性の調律師です。
ダイアナのステージが始まると、あっという間に暗くなりました。
というより、時間がすぐに経つんですね。
コールポーターの I've Got You Under My
Skin がピアノ歌ともに、ほんと良かった。
曲のよさもあいまって、彼女らしさがよく出ていた演奏で、個人的にはこれがこの日のベストだと感じました。
途中で Fly me to the Moon
をやりましたが、みんなが良く知っている曲を演奏することの重要性を、良く知っているなかなか憎い選曲です。
音量は控えめで、それでいてダイナミックレンジが広い演奏、つまり音量の小さい場所は、ものすごく小さい音で演奏します。
そうすると聴衆は耳をそばだてますよね。
そこへダイアナの声が、染み込むように突き刺さってくるのですから、たまりません。
張った声と、中低音の対比が素晴らしく、彼女の声のダイナミックレンジも、とても広いというのが印象的でした。
パッと聴くと、中低音が印象に残るので、ダイナミックレンジが狭いような印象を受けますが、そうではありません。
これは、リミッターをかけないとダイナミックレンジの点で収録できないCDを聴いているだけでは、わからない部分です。
日本の歌手は、このダイナミックレンジが狭いケースが多いようです。
CDだと聴けるけど、ライブを聴くと訴えるものをそれほど感じない、という原因の一因はこのダイナミックレンジでしょう。
これは発声練習とかの基本をどれだけこなして、声を創り上げているかということにもつながりますから大事な点でしょうね。
また演奏は、CDとはかなり違いました。
ジャズですから、即興性も生かすという点からは当然の演奏だともいえますが。
前座のバンドの方を引き合いに出して何ですが、比べてみると、ベースもドラムもギターも、演奏が非常に丁寧なことがよくわかる。
細かいところまで神経を使った演奏で、繊細な感性が織り成すアンサンブルを形成しているためか、ダイアナはピアノを全く弾かない部分もかなりありましたね。
ピアノも、一つひとつの音をとても大事にして弾いているという印象です。
フレーズ自体がとてつもなく素晴らしいというレベルではありませんが、歌がメインですから、あれでいいのでしょう。
ピアノのプレーヤーとしての即興性も含めた実力は、このコンサートではわかりませんでしたが、まあそんなことはどうでもいいと思わせるほど、やはり歌がよかった。
会場では、若い人はあまり見かけませんでしたから、ファンの年齢層の比較的高いコンサートでした。
私もその平均年齢を引き上げているはずです。(笑)
Zoom
アンコールもやってくれましたし、最後まで聞いていたため、帰りは大渋滞に巻き込まれ、歩いて駐車場まで戻るはめに・・。
駐車場から道へ出ると合流車線方向へしか曲がれないし大渋滞。
そこで意を決して途中でUターン。
ガラガラじゃないの。
もっともこっち方向から帰るのは、道がややこしいから、地元の人か、私のように下見をしていないと無理。
というわけで、翌日早いので、すっ飛ばして帰りましたが、「ガラガラの郊外のワインディングロードを、よく届くヘッドライトを上向きにして夜間ドライブ」というおまけもついた、とてもよいコンサートでした。
ダイアナ・クロー 1964年11月16日生まれ。35才。
カナダ、ブリッティッシュ・コロンビア生まれ。
15歳から地元 Nanaimo で演奏活動を始める。
ジャズボーカルでは珍しい、白人女性の本格派ジャズボーカリストとして脚光を浴びる。
1981年にボストンのバークリー大学でバンクーバー・ジャズ奨学金を勝ち取り、1年半後に彼女はカナダのバンクーバーへ戻る。
その後、有名なベース奏者レイ・ブラウン(故エラ・フィッツジェラルドの前夫)が彼女の歌を聴き、ロスでピアニストのジミー・ロウズのもとで勉強するように説得。
1990年ごろからニューヨークに住み、1993年にアルバムをリリース。
その滑らかで少しハスキーな声は「シルクの声」と絶賛され、2000年のベストジャズボーカル部門でグラミー賞を受賞。
ここに彼女の写真や記事があります。
オフィシャル・ファン・サイト
お勧めアルバム
When
I Look In Your Eyes
マイケルフランクスの Popsicle Toes など、さまざまなジャンルの名曲を揃え、トミー・リピューマ、ジョニー・マンデル、デビッド・フォスターという、名プロデューサーを迎えて製作されたアルバム。彼女の魅力が一杯。曲によってはオーケストラの甘美なストリングスも加わり、誰にでも楽しめるアルバムに仕上がっている。このアルバムの紹介記事(英語)
Musicians:
Diana Krall, piano, vocals
Russell Malone, guitar
John Clayton, bass
Ben Wolfe, bass
Jeff Hamilton, drums
Lewis Nash, drums
Larry Bunker, vibes
Love
Scenes 50万枚以上のヒットとなったアルバム
1999年8月12日:RIAAからゴールドディスクに選定
こちらは、彼女の素晴らしいピアノが存分に聴ける。
トリオというジャズの基本的なスタイルだから、彼女の実力もよくわかる。
Musicians:
Diana Krall, piano, vocals
Russell Malone, guitar
Christian McBride, bass
受賞・ノミネートの履歴
Grammy Winner: Best Jazz Vocal Performance 2000'
Juno Award nomination: Best Mainstream Jazz Album 1998'
Juno Award Winner: Best Jazz Vocal Album 2000'
Grammy Nomination: Best Jazz Vocal Performance 1998'
RIAA Gold Certification: When I Look in Your Eyes- 2000'
Jazz Report- Musician of the Year 1998'
Given Order of British Columbia 2000'
Jazz Times Readers Poll- Artist of the Year 1998'
Downbeat Jazz: Female Vocalist of the Year 1999'
Grammy Nomination: Best Jazz Vocal Performance 1997'
RIAA Gold Certification: Love Scenes- 1999'